ダイエットの常識として、これまで内臓脂肪と皮下脂肪の関係性を伝えてきました。それは内臓脂肪が減らないと皮下脂肪が減らないということで、このことが理解されていないとダイエットが成功しているのに、これを失敗ダイエットだと勘違いして、せっかくの効果がある方法を途中でやめてしまうということが起こっていました。だから、重要な情報として講習などで伝えてきたわけです。
内臓脂肪は肝臓で合成された中性脂肪が貯蔵される倉庫のようなもので、実際には多くの脂肪細胞によって構成されています。脂肪細胞は中性脂肪が多く送られてくると膨らむようにして容量を増やしていくのですが、2倍ほどにも膨らむと、脂肪細胞の数を増やして対応するようになります。脂肪細胞は増えることはあっても減ることはないので、若くして内臓脂肪の数が増えて腹部から太った人は倉庫が多くなっているために、なかなかやせることができなくなります。
皮下脂肪は第2倉庫のような存在で、第1倉庫(内臓脂肪)が満杯になりそうになると、少しずつ皮下脂肪に移していきます。そして、内臓脂肪が減ってきたときに皮下脂肪から中性脂肪が内臓脂肪に移されるようになります。だから、ダイエットをすると初めに内臓脂肪が減って、それに比べて皮下脂肪が減らないので、空気が抜けていく途中の風船のようになります。パンパン(満杯)に空気が入っている風船は表面にシワが出にくいのですが、空気が減ってくるとシワができます。
これと同じように内臓脂肪が減ってくると、皮下脂肪がゆるんできて、つまめるようになります。これは内臓脂肪が減って、さらにダイエットを続けると気になる皮下脂肪が減らせるというサインなのです。
とはいっても、これは中高年までの話で、65歳を過ぎると内臓脂肪が多くはない状態を保っていても、なかなか皮下脂肪が減らないようになります。これは生命維持に大切なエネルギー源の貯蔵場所の皮下脂肪から余計に中性脂肪が出ていかないようにするための変化で、高齢者になると常識とされるメカニズムどおりにはいかなくなってくるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)