手足が冷える、お腹が冷える、それどころか身体全体が冷えるという“冷え”を訴える人が多いことから、冷え対策は健康雑誌や女性誌だけでなく一般の雑誌などの恰好のネタとなっています。年に5〜6回は雑誌の編集部に“冷え”に関係する情報を提供しています。
冷えの対策としては「入浴が一番」といわれます。さすがに入浴中に冷えるという人はいないだろうと思ったら、「半身浴は体が冷える」という人もいました。これについては明日のテーマにさせてもらいますが、「夏でも靴下を履かないと足が冷えて眠れない」というのは、まだいいほうで、「風呂上がりに靴下を履いて寝ているのに足が冷える」という人までいます。だから、冷えは夏にも健康ネタになっています。
体の冷えについて、メディアからよく聞かれるのが、「冷え性の人は血液の温度は何度?」ということです。これは冷えを訴える人は血液の温度が低いと思われているからでしょうが、その答えは「血液の温度は同じ」です。冷え性であっても、体がポカポカと温まりやすい人でも血液の温度は変わらず37~38℃の範囲にあります。イメージからすると4〜5℃も差がありそうですが、そんなことはありません。
では、どうして体感だけでなく、実際に触れてみて冷たい人がいるのかということですが、それは血の巡り、つまり血流の違いです。温かな血液が送られてくることによって全身が温められていますが、体熱は皮膚から放熱されて徐々に温度が下がっていきます。それで体温計で計ると皮膚表面温度は36~37℃となっています。この1℃ほどの差が、放熱によるものということです。
血流がよくて、次々と温かい血液が送られてくれば、その部分の温度は高めに保たれるようになります。ところが、血流がよくないと放熱に体熱の補充が追いつかなくなって、体が徐々に冷えていくことになるというわけです。