新型コロナウイルスのワクチンの接種が、2月は医療機関従事者、3月は高齢者、4月は基礎疾患がある人と高齢者施設の従業員、そして5月以降に全国に拡げていくことが発表されました。5月以降とされているのは、16歳以上の全国民を対象としているため、希望をする人に行き渡るのは7月になると考えられているからです。オリンピックを“コロナに打ち勝った証”として開催すると国のリーダーが宣言していますが、7月から接種を始めて、オリンピックの開会式の7月23日までに収束できるのか、そこまでに打ち勝つことができるのかを疑問を呈する人は少なくありません。
これまでPCR検査は充分と言われるほど実施されてきたわけではなくて、PCR検査が受けられないために感染の不安を抱えながら自宅待機をしている人が急増しています。PCR検査は民間でも始まりました。格安を売り物しているPCR検査も展開されていますが、ここで陰性が確認されても、医療機関での検査ではないために医師による陰性証明書は出されません。陽性になった場合には医療機関で診察を受けて、入院かホテル隔離か自宅療養が言い渡されます。入院でなければ、基本的に治療を受けることはできません。
クリニックや医院などの医療機関でもPCR検査を始めようとして検査機器の導入が始まっていますが、実際の検査が始められないということが起こっています。その最大の原因は、検査試薬を保存するマイナス80℃に対応できる冷凍庫が手に入らないからです。マイナス80℃対応の冷凍庫というと、アメリカのワクチンを保存するために必要ということで知られるようになりましたが、同じタイプの冷凍庫がなければPCR検査が始められないわけです。
そんなにも必要な冷凍庫だけに品切れにならないように製造されています。それなのにPCR検査を実施しようとしている医療機関が手に入らない状況になっているのかというと、全国でワクチン接種をするために国が主導して入手しているからです。まるで“国による買い占め”と言い出す人までいました。
PCR検査にもワクチン接種にも冷凍庫が必要ということであれば、本来なら、先にPCR検査を広めるために検査機関に冷凍庫を回して、PCR検査によって感染者が明らかになって、行動制限や行動自粛などによって感染者が減ってきたところで、この冷凍庫をワクチン接種をする機関なりで使うという方法になるはずです。
ところが、先にワクチン接種のために冷凍庫を抑えたことによって、PCR検査の機関に冷凍庫が行き届かず、結局はPCR検査が充分には拡がらず、感染者が減らない中でワクチン接種を始めることになるということです。