医薬品には副作用があることが知られています。医薬品単体の副作用はそれほど強いものではなくても、複数の医薬品を重ねて使用すると副作用が強く現れることがあります。同じ医療機関で処方されるときには、そのことを知っているので、一緒に使うことで強い副作用が出ない組み合わせにするのが当たり前のことです。異なる医療機関で複数の処方をしてもらった場合には、強い副作用が出る組み合わせになる危険性もあります。これを避けるために使われているのが「おくすり手帳」です。これに使用しているすべての医薬品が記録されていれば、しっかりとした薬剤師が見れば、強い副作用が出る組み合わせなのか、それとも安心して使えるのかの判断ができます。そして、副作用のリスクが高い場合には、処方をした医師に連絡をして、処方を変えてもらうこともしています。好条件が重なっていれば、一応は安心ができるわけです。
医薬品は薬剤師の制度が整っているのでよいとしても、医薬品と健康食品を組み合わせて使用する場合になると、ここで相互作用の問題が出てきます。相互作用というのは、いわゆる副作用のようなものと考えられることもあるのですが、健康食品に含まれている成分によって医薬品の効果が強く出すぎることがあります。例えば、血糖値を下げる医薬品の働きを強めるような場合で、期待した以上に下げると低血糖の危険性も出てきます。これとは逆に、医薬品の効き目を弱めてしまうような成分が含まれた健康食品もあります。
このような医薬品と健康食品の相互作用を調査研究によって明らかにして、医療機関や保険会社などに提供しているのがアメリカのナチュラルメディシン・データベースです。日本対応版としてデータベースのほかに「健康食品・サプリ成分のすべて」という書籍が発行されています。日本対応版のデータベースは日本医師会、日本薬剤師会の会員には無償で提供されています。
こういったことを医師も薬剤師も目を通して、熟知していれば相互作用は防げるわけですが、医師が診察のときに健康食品に使用を聞くことも少なく、もしも聞かれたとしても患者が医師に何か言われるのではないかと心配して何も言わない、健康食品は使っていないと答えてしまうということもあります。健康食品の使用についての質問は薬剤師からもあってよさそうなものですが、患者が窓口に集中して忙しい時間帯の薬剤師から聞かれるようなことはまずありません。となると、自分で調べて、リスクを防ぐしか方法がないのが現状だということです。