史語の世界1 “死語の世界”にならないために

「史語の世界」ということを話すと「死後の世界」と間違われることがあります。「史語」と書いた文字を見ても、書き間違いと指摘されるのも、よくあることです。

この連載コラムは文字で表現されているので、書き間違い、変換ミスと思われるかもしれませんが、間違いなく「史語」であり、タイトルは「史語の世界」の世界です。

歴史としても語り継がれるような社会を動かしてきた言葉は、そのまま残れば名言となり、忘れ去られたら死語とされます。死語にはならなかったとしても、「そういえば、あの時に流行ったような」という流行語扱いをされてしまうこともあります。

ここで書き残していこうとしているのは後者のほうですが、本来なら歴史を表す名言として残されてもよかったものが、それを言い出した人の評価や業績が充分ではなかったことから、死語となることも少なくありません。

それは、死語となった「史語の世界」ということになります。この連載コラムは、言い出した人、この言葉を掲げて世の中を変えていこうとした人を、決して揶揄するものではありません。

そこには歴史的な背景があり、人の心を揺り動かそうとした強い意思があります。そこにスポットを当てて、歴史に残すべき(もしくは個人的にではあっても心に刻んでおくべき)史語であるのか、それとも死語として消えていくのも仕方がないことなのか、それを見極めるために始めるものです。

これを書いている岡山の地には「うったて」という言葉があります。これは短くいうと「起筆」のことで、もう少し説明すると「習字の書き始め」です。用紙に筆を当てて、力を入れて書き出すことから、「物事の始まり」「初めの段階」の意味でも使われます。

なぜ、このような「史語」について書き始めるのかについては、それぞれのコラムを読み進めていくうちに気づいてもらえる内容としています。一つずつを読んで判断するのではなく、全体を見て、その意味合いを読み解いてほしいという願いを込めての「史語の世界」の“うったて”です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕