歴史に残るような言葉の前に「新」がつけられると、これは年数を経て新たな時代に入ったと判断されることが多くなっています。今回のお題の「新・三本の矢」は、それ以前の「三本の矢」のバージョンアップを示していて、アベノミクスの新展開として普通に認識されていました。
最近の流行りでは、「新」よりも「シン」がつけられることが多くなっています。これはシン・ゴジラをきっかけに広まったとされています。
新たな展開の“新”だけでなく、前進させていく“進”、原点回帰の“真”、深い意味を込めた“深”、親しい関係を示す“親”、人間の想像を超える“神”など、さまざまな捉えられ方ができるように使われています。
三本の矢は「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の3つで、大胆な金融政策は日銀による緊急緩和による円役・株高でアベノミクスの基盤が築かれました。
機動的な財政政策は、一時的な刺激策で終わり、そして民間投資を喚起する成長戦略に関しては道半ばと言われ続けました。そこで、構造的な問題である少子高齢化に真正面から望んでいくために打ち出されたのが「新・三本の矢」でした。
旧・三本の矢のうち第3の矢は放たれたのかという疑問が投げかけられました。放たれたとしても、ちゃんと的まで届いたのか、当たったのか、どこに当たったのか、それを目標と合致していると判定することができるのかということです。
「新・三本の矢」では、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」が掲げられ、「一億総活躍社会」の実現に向けて、政府をあげての取り組みが提示されました。
一億総活躍については次回(史語の世界4)で触れていくことにしますが、第3の矢が結果を出せなかったことから、第3の矢を何本の打ち込むのではなく、別の矢を取り出すことで結果が出せるのかという論議もありました。
今のところの評価では「三本の矢」は命中せずに、別の「新・三本の矢」を持ち出して、やはり命中していなかったと言われたまま、次の時代を迎えることになりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕