史語の世界4 一億総活躍

政治の世界では、国の諮問機関、政府の諮問機関などの諮問機関がありますが、総理大臣の“私的諮問機関”という珍しい存在として設置されたのが「一億総活躍国民会議」でした。

その私的諮問機関は、第3次安倍内閣第1次改造内閣(2015年)から設置されたもので、これを担当するために内閣府に新設されたのが一億総活躍担当大臣で、初代は加藤勝信衆議院議員です。(加藤議員は厚生労働大臣、官房長官、財務大臣を歴任)

一億総活躍担当大臣は通称で、正式には「国務大臣(誰もが活躍できる「一億総活躍」の社会を創り上げるための施策を総合的に推進するための企画立案及び行政各部の所管する事務の調整担当)」です。

この会議の結果を受けて、2016年には「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定されました。閣議決定では、一億総活躍社会は「女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の社会」であるとしています。

閣議決定の内容は、次のとおりです。

1)成長と分配の好循環メカニズムの提示

2)一億総活躍社会の実現に向けた横断的課題である働き方改革の方向
 ・同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善
 ・長時間労働の是正
 ・高齢者の就労促進

3)「希望出生率1.8」に向けた取組の方向
 ・ひとり親家庭や多子世帯等への支援
 ・課題を抱えた子供たちへの学びの機会の提供(不登校へのフリースクール提供)
 ・奨学金制度の拡充
 ・女性活躍(退職した女性への復職支援)

4)「介護離職ゼロ」に向けた取組の方向

5)「戦後最大の名目GDP600兆円」に向けた取組の方向

6)10年先の未来を見据えたロードマップ
 ・希望出生率1.8の実現
 ・介護離職ゼロの実現
 ・名目GDP600兆円の実現

一億総活躍は、まだ道半ばであり、どこまで進んだのかを判断するのは、もう少し先のことになりそうです。しかし、このようなプランを掲げたことだけは忘れるわけにはいきません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕