厚生労働省の「健康日本21」では、歯・口腔の健康について目標を定めて健康づくりを推進しています。その現状と目標から歯の喪失の防止についてのリスク低減目標を紹介します。
1)敵的な歯石除去、歯面清掃
定期的に歯石除去や歯面清掃などの予防処置、指導を受けることが歯の喪失の防止に重要であることが示されました。5年間の観察で、定期的に歯石除去などを受けた群の1人平均喪失歯数は0.37歯であったのに対して、受けなかった軍の喪失歯数が1.39歯であったとされています。
これらの予防処置は、主に歯科診療所において実施されていますが、歯石除去、歯面清掃に併せて、歯口清掃や喫煙、食生活などに関する保健指導を実施することが、さらに効果的となります。
2)定期的な歯科検診と早期治療
歯科疾患は自覚症状を伴わずに発生することが多く、疾患がある程度進行した時点で症状が生じます。そのため、定期的に歯科検診を受診して、早めに歯科治療を受ける習慣を維持することが歯の喪失を抑制することが明らかにされています。
定期的な診査の間隔については、定期的な歯石除去、歯面清掃も同様ですが、年齢、性別のほか歯の現在歯数、う蝕、歯周疾患の状況などの個人のリスクに応じて、個別に適切な感覚で実施されることが重要となります。
3)その他
高齢者では、歯の喪失や歯周病の進行に伴い、口腔内状況が複雑となり、確実な歯口清掃を行うことが困難となってくるので、個人の口腔内状況にあった歯口清掃が実施できるように、きめ細かな指導・支援を行っていく必要があります。
また、今後、歯肉の退縮によって露出した歯根面に生じるう蝕(根面う蝕)のリスクが増加していくものと予測され、根面う蝕の実態などに関する調査・研究を踏まえながら対策を講じていく必要があります。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕