厚生労働省の「健康日本21」では、歯・口腔の健康について目標を定めて健康づくりを推進しています。その現状と目標から歯の喪失の防止について学齢期のう蝕(むし歯)防止の効果を紹介します。
1)フッ化物配合歯磨剤の使用
フッ化物配合歯磨剤のう蝕抑制効果については多数の研究が行われ、非配合歯磨剤との比較において20〜40%のう蝕抑制率とされています。フッ化物配合歯磨剤は個人の選択により、個人または家族レベルで手軽に応用が可能な方法であり、そのシェアは近年増加しています(1998年:69%)。
しかし、欧米ではほとんどの国でシェアが90%を超えており、う蝕急増期の学齢期を中心にフッ化物配合歯磨剤による歯磨きの励行に努め、その使用者の割合を増加することを目標としています。同時に、フッ化物の歯科的応用に対する関係者の理解を深めることも重要です。
2)口腔状況にあった歯口清掃法の習得
歯口清掃により歯垢(デンタル・プラーク)を取り除くことは、う蝕発生の原因除去として基本となりますが、この時期は永久歯への交換に伴い、口腔内状況が変化し、確実な歯口清掃が困難になっています。
したがって、個々の状況に応じた歯口清掃指導を受けることにより、適切な歯口清掃法を身につける必要があります。
また、この時期に、こうした指導を受けることは、生涯にわたる基本的歯科保健習慣・行動の形成においても重要な役割を果たすものです。
3)その他
この時期のう蝕予防においても、う蝕のリスク状況に応じて的確な予防管理を受けることが重要です。そのため、かかりつけ歯科医、学校歯科医などによる定期的管理により、適切な予防処置(フッ化物歯面塗布、フッ化物洗口、予防填塞:フィッシャーシーラントなど)を受けることが必要です。
また、この時期に学校における健康教育等の多様な機会を通じて甘味食品・印籠の摂取とう蝕の関係など、う蝕の発生と予防などに関する理解を促し、生涯にわたる歯と口腔の健康のための適切な生活習慣の定着に結びつける必要があります。
特に、12〜14歳ですでに40%を超える者が歯肉に炎症を生じていることから、歯周病予防に関する正しい歯科保健知識・行動を身につけるようにすることが重要です。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕