噛む噛むeverybody34 歯科と医科の健康連携

医科歯科連携は厚生労働省によって進められている医療の質を向上させる活動の一つで、患者に対して医科と歯科が協働することで総合的な治療を提供することを目指しています。

医科歯科連携による治療は栄養状態の改善、体調の早期回復、術後の合併症の予防、入院日数の削減、さらには医療費の抑制にもつながります。

歯周病菌は口腔内の問題だけでなく、心臓や脳の疾患の原因ともなり、誤嚥性肺炎肺炎や糖尿病、低体重児出産や早産の危険を増大させることが報告されています。

医科歯科連携は歯科が設置されている大規模な医療機関から始まり、徐々に連携機関が増えていますが、地域での医科歯科連携の拡充については今後の課題とされています。

歯科は治療が必要な状態になる前から予防・健診として関わることができる分野で、子どもの歯と口腔の健康の維持(むし歯予防や噛み合わせ調整など)は健全な成長に影響を与える重要な要素となっています。

歯科健診によって歯の健康を守ることは、全身の健康を守ることにつながります。歯が少ないと咀嚼が困難になるために、食べられるものが限られ、バランスよく栄養を摂取することができなくなります。

健康状態が保たれていない歯は、生活習慣病の原因にもなります。

また、噛む回数は記憶力、認知症と相関があるとの研究結果から、かかりつけの歯科医院がないことが認知症の発症リスクを増加させることも指摘されています。

歯が失われることによって全身に影響が出るだけでなく、菌が血管内に侵入することで脳卒中、心筋梗塞、高血圧、認知症、骨粗鬆症、関節リウマチ、妊娠合併症などを悪化させる可能性があります。

歯科健診による働く人の健康の維持・増進は、労働生産性を向上させると同時に、それは離職率を低下させることも期待されます。

歯科健診の重要性を広く伝え、企業・団体において継続的に実施できるように相談・講習・実施支援などを行うことが重要となってきます。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕