ひらがなを漢字にする問題で、「たじたなん」と出題されたら「多事多難」と書くのが正解ですが、間違い例として多いのが「他事他難」です。
「多事多難」は「次から次へと問題が起こること」「困難なことが続くこと」を意味しています。一時期、四字熟語を回答する演芸で、ツッコミが「次から次へと問題が起こること」と出して、ボケが「相撲協会」と答えるというネタがありましたが、根本が解決されていないと次々に問題が出てくるのは、元理事長が逮捕された大学でも、株主訴訟を起こされた会社でも「多事多難」を使いたくなります。
試験では間違いとなる「他事他難」は、対岸の火事と同じような感覚で、他人事(ひとごと)という意味合いですが、それと同じような意味で“他山の石”と会見の席で使って、顰蹙(ひんしゅく)をかっていた経営者もいました。他山の石は、他の出来事や自分に対する批判が自分の修養になる、自分を磨く助けとなるという意味です。
コロナ禍による活動自粛で大きく低下した国民的な健康度を大きく回復させていくためには、意識を変えることが大切になります。感染防止については、自分も家族も感染していないから、住んでいる地域は感染者が少ないからといって対策に力を入れてこなかった人がいましたが、コロナ後の対応についても他人事として考えている人が少なくありません。
外出自粛、運動不足、食事の変化、太り過ぎ、健康診断の減少、通院の減少などがあっても、自分は関係なかったからといって何もしないというのでは、国民的な健康度アップに寄与することはできません。自分は幸いにして健康を維持できたという人は、そのラッキーを他の人に与えて、一緒にコロナ後の健康づくりに参加してほしいと願っているのですが、そのようにはいっていないのが現状です。