外遊は外国で遊ぶことじゃない

政党の研究活動の一環としてヨーロッパに行った議員団が、SNSにアップした画像が、まるで遊びに行ったようだと批判されて、その画像を国会議員が削除しても批判の嵐が止まないシーンを見て、「外遊は外で遊ぶことじゃない」というコメンテーターの発言を耳にして気になることがありました。

やったことの是非とか自業自得といったことではなくて、「遊」という文字の意味を、もっと伝えてほしかったという気持ちです。

「外遊」は「がいゆう」であって、「そとあそび」ではありません。外遊は、見識を広げるために外国に訪問することで、政治家の場合には外交目的で海外に行くことを指しています。見識を広げることができたなら、遊びであっても立派な“外遊”となります。

これが外遊と書いて「そとあそび」であったら、一つのところにいるのではなくて外に出て遊ぶことになります。周りの目を気にしないで遊ぶことが「外遊」と書いて「そとあそび」となるわけで、「“外遊”で何が悪い!」と言っても構わないことになります。

そもそも“遊”という漢字には、遊ぶという意味の他に、「他の地域に出かけること」があって、これは遊説の“遊”の意味となります。「一か所に縛られずに自由に動くこと」も“遊”の意味で、メディアの記者などに使われるのは遊軍です。

これは遊んでいるわけではなくて、自由に動くことによって、よい取材をする人のことで、一見すると遊んでいるようでも実は重要な仕事をしている人ということです。

外遊を遊んでいることではないかと言われたときに、画像を削除したり、言い訳をするのではなくて、「立派に外遊してきた」と言って、その成果を堂々と発表すればよいのです。そんな立派な外遊の成果があれば、ということではあるのですが。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕