大人の粉ミルクはダイエットに適している

赤ちゃんのための粉ミルクを大人にも飲んでもらおうというので乳業メーカーなどが大人用の粉ミルクを開発しています。そのことを紹介したところ、「大人というのは何歳からのことか」、「まだ大人とは言えない10代の成長期が飲んでもよいのか」という質問が来ました。赤ちゃん用の粉ミルクといっても、誕生時から離乳食が始まるまでの6か月間に使用するものと、離乳食を食べ始めてから使うものがあります。私たちがすすめているのは6か月までのもので、これは糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素も、ビタミンとミネラルもバランスよく含まれ、ビフィズス菌などの乳酸菌も含まれています。
赤ちゃんの腸内にはビフィズス菌をはじめとした善玉菌が非常に多く、「あえてビフィズス菌を入れる必要はないのでは」との疑問を寄せてきた人もいます。善玉菌の割合は青年期も大きくは変わらないものの、悪玉菌のほうは離乳期から急に増えていくので、悪玉菌を抑えるために粉ミルクのビフィズス菌は有効となります。
特にすすめたいのは、若くしてダイエットをしている人です。ダイエットの方法としては食事制限と運動があるわけですが、食べる量を減らすとビタミン、ミネラルも減ることになります。この補給をサプリメントではなく、粉ミルクを使おうという発想です。運動をする人にとってはどうかというと、運動をして代謝が盛んになるときにはビタミンとミネラルが数多く、しかも豊富に必要となります。これを補うことで運動の効率を高めることも考えています。
大人が粉ミルクを飲むことについて「赤ちゃんが飲むもの」と否定的に言う人がいます。そんなことを言うなら「牛乳は牛の赤ちゃんが飲むもの」です。人間の大人が飲んでよいのかという話になってしまいます。「エネルギー過多になって生活習慣病の原因になる」との批判もあります。確かに赤ちゃんには成長のために糖質も脂質も多く必要なので、多くの量が配合されています。完全に主食の代わりに粉ミルクを飲むとしたら過剰になるかもしれませんが、サプリメントのように補うという感じで使うのなら、それほど気にする量ではありません。それよりもダイエットのために食事抜き、主食を極端に減らすということをしがちな若い人のダイエット支援のためには必要な量の栄養素となります。
腸内細菌の善玉菌が栄養源(エサ)とするのは糖質と乳製品の乳糖、食物繊維です。ダイエットのために糖質制限をすると善玉菌の栄養源が不足します。食べる量が減ると食物繊維も減るようになります。善玉菌が減ると悪玉菌が増えやすく、悪玉菌が減ると善玉菌が増えやすいという関係性があり、悪玉菌を増やさないようにすることも腸内環境を保つためには必要となります。悪玉菌が栄養源とするのは主には動物性たんぱく質と脂肪です。洋食を食べる機会が多く、肉を多く食べると悪玉菌が増えやすいので、乳酸菌が多い粉ミルクは若い人たちには有効です。
粉ミルクは牛乳をベースにしているので、乳糖分解酵素が少ない人は下痢を起こす可能性があります。乳糖分解酵素は赤ちゃんは全てが持っていて、20歳を過ぎると減っていく傾向があります。若い人なら、牛乳を飲むと必ず下痢になるという人以外は、特に問題はないと考えています。