太っていると身体は温まるのか冷えるのか

太っていると、厚着をしているようなものというイメージから、身体が温まっていると思われがちです。しかし、実際には冷えやすく、中には冷え性を訴えている人も少なくありません。どうして、そんなことが起こるのかというと、脂肪細胞に送られる血液が多くなることから動脈を通って全身を回る血液量が減るからです。血流がよいと、温かな血液が次々に送られてきて、全身が温められます。冷えは手足の先で起こりやすくなっています。それは末端であるので、血液が送られにくいからで、手足の冷えは全身の血流が低下している結果だということです。
脂肪細胞には血管を通って血液とともに中性脂肪が送られて、余分となった中性脂肪が蓄積されます。そして、血液中の中性脂肪が不足したときには、脂肪細胞の中の中性脂肪が分解されて、脂肪酸が血液中に放出されます。脂肪酸は細胞のミトコンドリアでエネルギー源として使われますが、余分となった脂肪酸は肝臓の中で中性脂肪に合成されて、血液中に増えていきます。
脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が多くなるということは、それだけ多くの血液が脂肪細胞に送り込まれるので、その他のところに送られる血液量が減って、全身を温める働きが低下することになります。だから、太るほど冷えるようにしまうのです。
これは内臓脂肪の話で、皮下脂肪は体熱が余分に放出されないようにする断熱材の役割をしています。断熱材が厚いと、放熱が進みにくくなるので、それほど多くの体熱を作らなくても生命維持することができます。そのために体内で発生する熱も少なくなり、血液が温まりにくくなります。
1日の消費エネルギー量のうち70%ほどは生命維持に必要な基礎代謝に使われていますが、基礎代謝の70%ほどは体熱産生に使われています。つまり、体内で発生したエネルギーの半分ほどは体温維持に使われることになるのです。断熱材が厚いと、エネルギーを多く作らなくてよいということで、どうしても冷えやすくなってしまうのです。