太るというのは、脂肪細胞の中に蓄積されている脂肪が多くなった状態です。この蓄積される脂肪は中性脂肪で、3個の脂肪酸がグリセライドと結びついた形をしています。動物の肉に含まれている脂肪も中性脂肪です。これを食べると、胃と十二指腸で分解されて、脂肪酸が小腸から吸収されます。そして、血管を通って肝臓に運ばれ、肝臓の中で蓄積型の中性脂肪に合成されて、筋肉細胞をはじめとした細胞に取り込まれると再び分解されてエネルギー産生に使われます。余分となった中性脂肪は脂肪細胞に運ばれます。
太るのは一般には脂肪細胞の数はそのままで、脂肪細胞に多く中性脂肪が取り込まれることで脂肪細胞は膨らんでいきます。通常のサイズの2倍ほどの大きさになるまで蓄積できるとされています。では、それを超えるほどの中性脂肪が体内でできたときにはどうなるかというと、中性脂肪は重要なエネルギー源となるので、できるだけ蓄積するために脂肪細胞の数を増やしていきます。数が増えれば、その分だけ蓄積量が増えるわけです。
脂肪細胞の数は250億〜300億個となっていますが、肥満になると400億個を超えることもあります。脂肪細胞は必要になると増えることはあるものの、蓄積される中性脂肪が少なくなったからといって減ることはありません。子どものときに太っていた小児肥満は、子どものときから脂肪細胞の数が多くて、蓄積スペースが多いので、どうしても太りやすくなります。脂肪細胞は大人になってからも肥満になると増えてしまいます。
また、運動をして中性脂肪を減らす場合も、脂肪細胞の数が多いと、なかなか減ってくれません。やせたようでも蓄積できるスペースが多いために、無駄なく溜め込むことになり、筋肉細胞に送られる量が減って、運動を頑張ったわりには、やせないという結果になります。
増えてしまった脂肪細胞を減らす方法は美容整形で行われる脂肪吸引しかないので、これを選択するのではなくて、食事量のコントロールと運動によって脂肪細胞の中に蓄積される量を減らすことを考えるべきです。