好転反応は良い反応なのだろうか

身体の状態がよくなるときに一時的に起こる現象は好転反応と呼ばれます。瞑眩(めんげん)反応とも呼ばれますが、一時的に何が起こるかは気になるところです。良い反応の前に、それを予兆させる良いことなら歓迎すべきことかもしれませんが、あまり良いとは言えないような反応も起こります。よく例に出されるのは体内の毒素が排出されて健康状態になっていくときに、一時的に皮膚の状態が悪化することがあります。その悪化はかゆみだったり、炎症や肌荒れだったりすることが多いのですが、毒素が出ようとするのだから皮膚からも出ている証拠というようなことを言う人もいます。
実際にはどうなのかと言うと、好転反応は人間の恒常性保持能力があるためだと考えられています。身体が歪んでいると、その状態でも生活できるように骨や筋肉だけでなく内臓の働きも神経の伝達も歪んだなりに、できるだけ正常な状態に近づけようとします。周りから見ると正常ではないように映るとしても、本人は正常な状態と同じようにバランスを取っています。それをまっすぐな状態でなければ健康ではないのだからと、例えばカイロプラクティックのように急にまっすぐにしたら、筋肉のバランスも血液の流れも神経の流れも急に変化して、これまでバランスを取っていた全身の働きが変調を起こすことにもなります。
ここでいう歪みというのは、まさしく身体が歪んでまっすぐの状態ではないことを指していますが、身体の歪みだけでなく、一つの臓器の状態がよくないと、それを別の臓器がカバーするために積極的に働くようになります。肝臓の解毒能力が低下すると、充分に解毒されなかった有害物質を分解するために腎臓に負担がかかります。腎臓で濾過されたものを排泄する能力も必要になります。負担がかかるということはフルに働いて、バランスを取るようになるというわけです。
好転反応は身体の反応をわからせるために起こっているとしても、これを物売りの手段に使われると話は違ってきます。中でも問題とされているのは健康食品の販売テクニックです。健康食品を使って身体に変化が起こり、気になって販売会社に連絡をしたら、「よかったですね」などと言われることがあります。めまいやふらつき、発熱などが起こって文句を言うつもりで電話をかけた人にも「よかったですね」と言うようにしているマニュアルを用意している会社もあります。なぜ、そんなことを言うのかというと、それは好転反応のことで、「好転反応が出たのは健康食品が効いているから、よくなる前の兆候だからという安心して使い続けてください」とまで言っています。
健康食品に毒物や医薬品成分などが含まれているというのは問題外の話としても、有効成分であっても使った人にとって量が多すぎることによって過敏な皮膚反応や体調不良が起こることもあります。こういった健康被害は、厚生労働省による取り組みで、情報収集、研究機関による分析、注意喚起、そして販売者への指導(販売禁止、回収など)が行われる体制となっています。健康被害の事例は書籍になるほど医療機関からの情婦提供は続いています。
健康被害なのか好転反応なのかを調べるには医療機関で診てもらうのが一番ですが、健康食品の摂取量を減らしてみて症状が弱まり、また元の量にしたときに症状が出なかったら好転反応とする方法もあります。健康被害かもしれない、本来ならすぐに摂取中止しなければならない状態かもしれないのに、継続したほうがよいというのは筋が通らないことです。