子どもの体調は、お母さんの胎内にいるときに受けたことと出産後の生活が大きく影響を与えることが多くの研究によって明らかにされています。
その研究成果として、国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。その提言のエビデンスの解説から成育歴・育児歴の項目(第1回)を紹介します。
母乳により母子ともに、さまざまな疾病のリスクが下がることが報告されています。
出産後になるべく母乳を与えることで、母親の糖尿病、高血圧や循環器病リスクが低下するとの報告があります。また、母親の乳がんリスクを低くすることも期待できます。日本人における疫学研究の系統的レビューでは、授乳は乳がんを予防する可能性ありと判定され、また国際的には授乳は乳がんをほぼ確実に予防するとされています。
乳児期初期の母乳栄養により、子どもの感染症や白血病、2型糖尿病のリスクが低下する可能性が示されています。一方で、生後6か月をすぎて完全母乳栄養を続けることの健康効果は示されていません。つまり、長期に母乳を与えることではなく、あくまで出産後半年ほどは可能な範囲で与えることが良いと考えられています。