子どもの健康のための生活面の注意というと誕生後が中心になっていますが、お母さんの胎内にいるときに受けたことが、子どものときだけでなく、生涯にわたって影響を与えることが多くの研究によって明らかにされています。
その研究成果として、国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。その提言のエビデンスの解説から、妊婦に関わる項目を紹介します。
〔5身体活動〕
妊娠中に身体活動を行うと、妊娠中の体重増加を抑制でき、妊娠合併症および帝王切開出産のリスクが低下することが報告されています。日本の大規模コホート研究でも、運動を定期的に行っている妊婦では早産および器械分娩のリスクが低くなることが報告されています。
〔6心理社会的要因〕
アメリカのおよそ2000人の女性の双生児ペアのコホート研究では、ストレス要因となるライフイベント(暴行、婚姻トラブル、離婚、経済的問題、重大な住宅問題など)により、うつ病発症リスクが増加すると報告しています。また、欧米諸国で行われた57研究のシステマティックレビューによると、上述のようなストレス要因となるライフイベントを妊婦が経験すると、うつになりやすいことが報告されています。
〔8健診・検診の受診と口腔ケア〕
妊娠中は口腔ケアが疎かになることが報告されています。歯周病は早産のリスクになることが報告されています。