発達障害と勘違いされやすい発達性協調運動障害では、手先の不器用さが目立っています。手先の不器用さは一般にみられることで、また子どもでは多くみられることですが、発達性協調運動障害では靴の紐が結べないことのほかに、ハサミや定規などの道具が上手に使えない、字が上手に書けない、折り紙が折れないということもみられます。
この苦手さのために、日常生活活動、学業や就労活動、余暇・遊びなどが妨げられるようになります。本人としては頑張って行っていても、周囲からは頑張りがわからず、やる気の問題、練習不足などと誤解されることもあります。
発達性協調運動障害の子どもは、乳児期に寝返りやハイハイ、お座りが遅いことから気にかけられることがあり、少し成長してからは階段を上る、三輪車に乗る、シャツのボタンをかけることなどがうまくできないことが現れます。これらのことができた場合であっても、同年代と比べて動きがぎごちなく、時間がかかることがあります。さらに成長してからは絵を描く、パズルの組み立て、チームでの球技などがスムーズにできず、不正確になることもみられます。
その原因として過保護な育児や運動不足があげられることがあるものの、これは親のせいではなく、発達性協調運動障害である場合が多くなっています。発達性協調運動障害は、幼いときに機能訓練をすることで、ある程度は改善することができます。できるだけ早く対処して、脳の神経伝達と高めるということでは、発達障害児支援と同じことがいえます。
発達性協調運動障害と発達障害は区別がつきにくいところがあり、専門家や医師であっても見間違えることがあります。不器用さが、発達障害によるものなのか、それとも発達性協調運動障害によるものなのかは、機能訓練をしている発達障害児支援施設や、そこで働く専門家(理学療法士、作業療法士など)によって判断ができることが多いので、その相談は重要となります。