学習支援38 改善の考えの違いによる障壁の差

発達障害は知能指数や脳の障害などに問題はないものの、神経伝達などの機能障害から、病名にも法律名にも“障害”の用語が使われています。機能障害であるなら、発達障害の支援活動で改善されるように思うことは当然のことです。
発達障害児の支援に取り組む団体などでは、「発達障害の改善」とうたっているところもあり、どれくらいの改善が望めるのかが気になり、定型発達(発達障害でない状態)と同じレベルになることを多くの保護者が期待するところです。
しかし、「発達障害の特性は生涯にわたって続く」という特徴があります。医学関係者にリサーチすると、「発達障害は治らない」という意見が大多数であることに気づかされます。「発達障害は治ることはないものの、ある程度は改善できる」という考え方が主流ということですが、改善のための支援を行っている児童発達支援事業所や放課後等デイサービスで発達障害児やその家族と接しているスタッフに聞くと、「がっかりさせることになるのでズバリとは言わないようにしている」という答えも返ってきます。
治らないことをわかっていて、それを保護者などに伝えないことは、余計な期待をさせることになり、かえってよくないということをスタッフの教育の機会に話す医療関係者もいます。その話をされると、申し訳ない気持ちを抱えながら改善の支援に取り組むことになって、つらい気持ちのまま支援・指導をすることになるということを訴えるスタッフも少なくありません。
保護者が治らないという認識をしていて、少しでもよくなることを望んでいるのなら、現場スタッフも悩むことなしに支援を行えるのでしょうが、こういった気持ちのズレがあると、これが発達障害のある子どもの障壁となってしまうことが懸念されているのです。