同じ試験内容であっても解答率を低くする出題法があります。学習に困難さを抱える子どもには、解答率を高くして、成功体験を重ねるようにさせて、モチベーションを高めることが大切になります。しかし、試験によって差をつけさせることを目的としている場合には、どうしても回答しにくい方法が選ばれがちです。その学習障害児などでは避けたほうがよいのは、問題ごとにバラバラの出題形式です。
「ア〜オから正しいものを1つ選びなさい」というように出題形式が、いつも同じであれば、何を答えればよいのかがわかりやすく、少なくとも勘違いをしたために間違えるということはなくなるはずです。日本メディカルダイエット支援機構のメンバーの中には、栄養に関する国家試験の問題に関わった者もいて、そのときには解答率を下げるために問題を変えるのではなく、出題形式を変えるように要請されて作り直した経験があります。
そのときの出題形式は、「ア〜オから正しいものを選びなさい」というのが一つで、正しいものが1つとは書かれていません。1つかもしれないし複数かもしれないということだけでも難しさが増しています。次は「間違っているものをア〜オから選びなさい」というもので、この場合にも間違っているものが1つとは限らないというわけです。
さらに難しくするために、「ア〜オのうち正しいものの組み合わせを選びなさい」というものがあります。これは正しいものと間違っているものがセットになっていて、どちらが正しいのかを判断して選ぶものです。こちらのほうが回答しやすく感じるかもしれませんが、正解のほうに間違いやすい表現を入れることで難解さが増していきます。
もっと難しくするには、間違ったものを選ばせて、その理由を書かせるものや、「理由について〜字以内で説明しなさい」と文字制限をするもので、わざと解答率を下げるためにやっていることがわかります。
実際に入学の試験問題では、このような出題形式もあるので、それに慣れておくことは大切です。しかし、問題を把握して、それに対する答えを考えて、それを書くという一連の流れに困難さがある子どもの場合には、この困難さを克服してから出題形式を変えるということが必要になります。