学習支援55 モチベーション向上への基礎判断

子どもの学習への意欲を高めるためには、いかにモチベーションを高め、自ら学ぶこと、学ぶ方法を考えることが大切となります。そのための方法は、さまざまな教育関係の書籍にも掲載され、これを取り入れた現場教育も行われています。その方法は、すべての子どもに共通する原則として、教育メソッドとして採用している教室もあります。
しかし、発達障害によって学習への困難さを抱える子どもの場合には、その特性から通常の方法は通じにくく、通常とは異なるアプローチも必要となってきます。
これまで教育の中において蓄積されてきた学習意欲向上の動機づけを活用して、よりよい結果へと導いていくためにも、まずは発達障害児の学習に関する特性を理解することが必要となります。
発達障害児は、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害に大きく分けられます。この3つの中に学習障害が含まれていることから、学習に困難さを抱えているのは3タイプの1つである学習障害だけの特徴と考えられることもあります。しかし、学習への困難さは自閉症スペクトラム障害にも注意欠陥・多動性障害にもみられる特徴となっています。
自閉症スペクトラム障害は集中力があるものの、集中しすぎることから周囲が見えにくくなるところがあり、例えば問題を解くときに、わかりにくいことや解くのに時間がかかることがあれば、それは後回しにして、解きやすいところから取りかかるということは通常なら普通のことです。わざわざ指摘しなくても、多くの子どもが理解して対応していることです。
ところが、自閉症スペクトラム障害では一つの問題に引っかかると、他が見えなくなって、その問題を解かないと前進できないこともあります。そのために、まったく解けずに0点になってしまうこともあるのです。ただ、他の問題、解きやすいところから取りかかることを言うだけでなく、具体的な指示、どの段階で他の問題に移っていくのかを教えてあげることをしないといけない、というように対応の変化が必要になってくるのです。