モチベーション向上のための動機づけの割合としては、同一化的動機づけ、取り入れ的動機づけが多く、内発的動機づけが続き、外的動機づけは最も少なくなっています。賞罰のような外部からの圧力による外的動機づけは多くの子どもが受け入れにくく、実際には成績に好結果として影響していないことがわかります。
動機づけは、子どもの成長による心理的な変化によっても変わるものであり、特に影響を受けやすいのが中学校に移行する時期に多いことから「中1ギャップ」とも呼ばれます。これは学習環境が大きく変わり、学習内容も変わることから新生活に適応できず、学習面で起こるさまざまな現象を表しています。授業についていけなくなった、他校出身の生徒との人間関係の再編成、周囲との関係がうまく作れずにいじめや不登校が起こる、といったことがあげられます。
小学校と中学校では授業の形が大きく変化します。小学校では学級担任性であったのに対して、中学校では教科担任制となって、教科ごとに担任が変わり、担任によって教え方にも違いがあります。小学校は基礎的学習能力を身につけるための学習であったことから、全員が理解できるような配慮が行われているのですが、中学校では教えられた内容を各人が自主的に勉強して理解することが求められます。
学習内容も幅広くなり、授業のスピードも速くなります。小学校ではテストの順位が出されることがないのがほとんどであったのに対して、中学校では順位が明らかにされ、学力差を具体的に示されるようになります。
生活の面でも大きく異なり、制服の着用、校則に従った生活が求められます。小学校までは年齢による上下関係はあったものの、それほど厳しいものではなかったが、中学校では先輩との縦社会の関係が強まっていきます。
小学校まで6年間かけて作り上げてきた同年齢との人間関係があることから、上級生との関係での不安や問題などは仲間の協力を得て解決することができました。それに対して中学校では他校出身の生徒との新たな人間関係から仲間意識が希薄となり、それが上級生とのトラブルにもつながりかねないのです。
このような中にあって、学校でも家庭でも学習に対する意欲が低下する懸念がありますが、発達障害による学習障害がある子どもの場合には、さらに特性による困難さが加わることから学習意欲にも大きな影響が与えられることとなるのです。