文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、学習障害がある子どもの教育の場と提供可能な教育機能について、前回に続いて紹介します。
指導内容についてですが、学習障害のある子どもに対する通級による指導では、通級による指導を行うに当たっては、特別支援学校の学習指導要領における自立活動を参考にした指導を中心にしながら、学習障害の特性や、子ども一人ひとりの個別の教育的ニーズに充分配慮することが大切です。
実際の指導では、指導の目標や内容・方法などを踏まえて、必要に応じて、個別指導やグループ別指導を適切に組み合わせて行うことが求められます。加えて、障害の状態の改善または克服を目的とした指導と、各強化の補充指導について、それらを適切に組み合わせて行うことが効果的である場合には、適切な配慮の下に実施することが大切です。また、学習障害のある子どもについては、月1単位時間程度の指導も充分な教育的効果が認められる場合があることから、一人ひとりの状態に応じて、適切な指導時間数を設定することが重要です。
個別の指導計画の作成ですが、学習障害のある子どもに対しては、個別の指導計画を作成することが望ましいとされています。特に、通級による指導を受ける子どもについては、個別の指導計画作成の際に、通常の学級における配慮事項も記載しておく必要があります。
また、対象となる子どもに対して、個別の教育支援計画が作成されている場合には、そこに記されている内容にも充分配慮して、個別の指導計画を作成することが大切です。
通常の学級における指導では、通常の学級においては学習障害のある子どもについて、適切な配慮の下に指導が行われる必要があります。指導を担当する教員は、学習障害のある子どもの実態の把握に努め、通級による指導における指導方法などを参考にするとともに、ティームティーチングや個別指導、学習内容の習熟の程度に応じた指導、教材・教具などの工夫を行うことも重要です。
読み書きに困難がある場合は、板書だけで説明するのではなく、必ず読み上げてわかりやすく解明したり、ノートに写すべき部分を色分けしたりするなどの配慮が効果的です。また、計算が苦手な場合に、練習問題の量を減らすなどの工夫も考えられます。