文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、学習障害がある子どもの教育的ニーズについて紹介します。
学習障害は、学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力について、なかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、さまざまな困難に直面している状態を指しています。
学習障害がある子どもの教育的ニーズについては、2つの重要性が示されています。
(1)早期からの教育的対応の重要性
学習障害のある子どもについては、就学してから、その学習上の困難が顕在化することが多くなっています。また、文字や数字を扱う場面が少ない幼少期においては、周囲から気づかれる可能性は低くなっています。
しかし、学習障害の傾向があることを幼少期に気づくことは不可能ではありません。文字の読み書きに興味を示さなかったり、読み聞かせは好んでも文字をなかなか覚えなかったりするなどの兆候が見られたら、気づいた時点で専門家に相談し、遊びの中で、これらの能力をはぐくめるような機会を積極的に設けると効果的な場合があります。その際、すぐに結果を求めたり、過度に繰り返しを要求したりすることは避けなければなりません。
(2)障害の理解に関する保護者などへの支援の重要性
学習障害のある子どもに対しては、通常の学級において、必要に応じて適切な配慮をしつつ指導することが基本となります。しかし、子どもによっては、通級による指導が効果的であることから、就学に関する相談を進める上では、必要に応じて専門家の見解を伝えながら、保護者に対して通級による指導の意義・目的や通常の学級での学習との関係などについて充分な説明を行い、その必要性について理解を得るように努めることが重要です。
保護者の中には、子どもに障害があることに気づいていない場合や、気づいていても受け入れられない場合があります。そのような場合には、いきなり障害名を告げるのではなく、子どもの困難について、具体的な支援の方法を伝えるなどを通して、保護者が障害を受け入れられるように説明をしていくことが大切です。
また、通級による指導における指導内容・方法、指導計画を保護者に提示することや、保護者がいわゆる通級指導教室を訪問して参観したり、担当者から説明を受けたりするなどにより、保護者の理解と協力を得るように努めることが大切となります。