文字を的確に読むことができないという識字障害は、まったく読めないという例は少なく、読むために必要なサポートをして、把握して理解して言葉に出すという一連の流れの反応するまでに時間がかかることが多いことから、時間をかけて待つということができるかどうかにも、改善の成否はかかっています。
教科書の文字は字体も大きさも決められています。見づらい字体(フォント)であるときには、見やすい字体に変える、大きくするといったことが必要ですが、学校などの授業で教科書を変えるわけにはいかないという場合には、識字障害の対応として別のプリントを用意するといった方法がとられます。
字体も大きさも読み取るのに問題がなくても、読み取る文字、文節に集中できないために充分に読み取ることができないということがあります。紙の教科書でもタブレットの教科書や参考書でも黒板(ホワイトボード)でも多くの文字が書かれていると、目に飛び込んでくる文字数が多くなるほど集中して読み取れなくなります。そこで、読むべき部分の上下(もしくは左右)を隠すという方法がとられます。白い紙やタブレット、ボードに書かれた文字は、白い部分が輝いて見えるために、そこに書かれた文字が読みにくくなるというのは当然のようにあることで、そのことを理解して、例えば別のプリントにするにしても背景の色を見やすいように変えるという方法もあります。
記憶をするときにはアンダーラインや蛍光ペンで色をつけることで読み取る情報量を制限(調整)することがありますが、書き込むことがすすめられていない教科書でも、その方法が使えるようにするか、やはり別のプリントを用意するべきです。
教科書などの文字は、なんとか読み取ることができる子ども、読み取ることができるようになったという子どもでも、テストになると全員が同じものを使うという前提のために、読みにくいもので、記憶や思考の結果を出せと迫られることもあります。テスト用紙も文字が大きな別のものを用意すると同時に、識字障害があると書字についても狭いスペースに書けないということもあるので、解答欄の工夫も必要になります。