学習障害の識字障害の改善には、まずは集中して読めるようになるための工夫が必要です。識字障害の子どもは、目から飛び込んでくる情報が多すぎるために、読むべき文章に集中できないことがあり、読むべき文章を示すために他の文章(上下・左右)を見えなくするという方法があります。
これで読むべき文章がわかったとしても、文章の区切りがわからないと、ひと固まりとして覚える範囲がわからなくなり、これが集中を妨げることにもなります。そこで、教科書にスラッシュを入れて、どこまで区切って読めばよいのかがわかるようにする方法があります。教科書にスラッシュ(/)が入れにくい場合には、コピーをして、それにスラッシュを入れるようにします。
識字障害を改善するためのテキストの中には、文章の間に一文字分の空白を入れる分かち書きがされたものもあります。教科書を参考にして、別にプリントを用意する場合には、分かち書きを入れてあげるという方法も使われます。この方法によって、区切りがわかり、その部分だけを理解することに集中して覚えていくことができるようになります。
識字障害の中には、前に覚えた漢字が思い出せなくて、そのために理解するまでの時間が長くなることがあります。そういった場合には、ルビ(ふりがな)を振ることで読みやすくなり、これが理解を進めることに役立ちます。教科書にルビをつけるわけにはいかないということで、この場合はコピーしてルビを振ることになります。テストの場合にも、識字障害の子どものことを考えて、別にルビを振ったテスト用紙を作成することも求められますが、これは教室での授業の中では難しいかもしれません。
そこで、家庭や学習塾で、解けなかった問題の質問にルビを振って、再度チャレンジして理解を進めるという補習的な対応が必要になってきます。
目からの情報には反応が遅くても、耳からの情報が理解しやすいことがあります。また、目からと耳からの両方の情報によって理解しやすくなります。電子書籍や教科書の読み上げシステムは、音をプラスすることによって理解を進めるためのツールです。