算数障害というと、いまだに計算ができない、数の概念がわからないという生活に支障をきたすような障害だと勘違いされることがあります。算数障害が含まれる学習障害、その学習障害が含まれる発達障害は知的な能力の低下がないことが基本となっています。計算をするために必要な知的能力はあるものの、その認知に時間がかかり、通常の思考時間、解答時間とされる範囲に当てはまらない場合がほとんどです。
計算をするときに1桁の場合には足し引きは比較的しやすいものの、2桁以上の計算をするときに一の位と十の位を入れ替えることがみられます。これは数字の位置が判別できずに、無意識のうちに繰り返してしまうことが多いため、繰り返して計算をさせても、なかなか改善されないことが起こります。こういった場合には、一の位と十の位の数字を色を変える、数字の色はそのままでもアンダーラインなどで色をつけるといった方法をとるようにします。一の位は赤、十の位は青で示して、一の位の計算では赤と赤を足す、十のくらいの計算では青と青を足すといったようにして、桁の混乱をなくすようにして、計算しやすいようにします。
計算式では桁の計算ができても、文章問題では、どのような計算式になるのか、どこを足したり引いたりすればよいのかを理解するまでに時間がかかることがよくみられます。識字障害がある場合には計算問題が特に苦手で、どうやって数字の問題を読み取るのか、それを計算に置き換えるのかがわからないということにもなります。
この傾向は2桁以上の計算問題を解くときに見られることで、一の位と十の位の、それぞれの桁を明らかにするために、桁ごとに線を引いて(直線、波線、二重線など)区別がつきやすいようにしてあげるようにします。