学習障害106 算数障害への接し方2計算できるようにする工夫

算数障害がある子どもは、数の概念を理解するのが困難という例も少なくありません。1という数字は個数でいうと1個(●)というのはわかりやすく、2は2倍の2個(●●)、3は3倍の3個(●●●)というところまでは簡単に進むことができます。これが4以上になると急に困難さが出てきて、4という数字は「よん」と読んで、4という文字になって、●+●+●+●、●+●●+●、●+●+●●、●+●●●、●●+●+●、●●+●●といったように数の組み合わせによって構成されていることを理解することになります。
数字を見て、数を思い浮かべて、その組み合わせの変化が算数としての計算になるということが理解できていない場合には、おはじきやコインを使って、数えながら計算をするということから始めます。パソコンやタブレットを使った算数の学習ソフトでは、おはじきなどを見せて、例えば3個を出し、次に4個を出して合わせて7個という答えを導いたり、10個のおはじき出して、そこから4個のおはじきを出して見せて、残っている数を当てるというゲームのような形から理解を進めていく方法も取られています。
算数問題で、特に苦手なのは、数の概念が身についてきて、加減(足し算、引き算)の計算式が出されるようになったときに、急に算数が苦手になる子どもも少なくありません。これは文章として問われている内容が理解できずに、これを計算式に置き換えることに困難さを感じていることが多くみられます。
これは読んで理解するという識字に困難さがある場合が多く、識字障害が克服されていないと、複雑な算数の文章問題でつまずくことになります。文章問題を、そのまま解こうとするのではなく、問われていることを絵や図にしてみて、数としてとらえられるようにしてから計算式に置き換えるという方法も効果があります。
計算ができない状態であるのに電卓を使うことは許可されないこともありますが、算数の概念を理解しているのに計算をするのに時間がかかり、これが授業で取り残される原因となっている場合には、電卓を使用するのは困難さを克服するのに効果があります。ただ、これを許可してくれるかどうかは教師や学校の理解の程度にかかっています。
算数に楽しさを感じず、苦手意識を持ってしまうと進みにくくなるので、パソコンやタブレットを活用して、家庭や学習塾などで楽しく学んでいくことも考えるべきです。