学習障害143 腸内細菌の働き2

腸内の状態はトイレで、自分で確かめることができます。善玉菌が多い人は腸内での発酵が進むために、便の色は黄色くなり、臭いも弱くなります。また、便の量も増えて、便も軟らかくなります。それに対して悪玉菌は腸内での腐敗を進め、アンモニアや硫化水素、スカトール、インドールといった有害物質を多く作り出します。便の色が黒く、臭いが強く、便の量も少なく、便が硬くなります。また、悪玉菌が多いと便秘や下痢を起こしやすくなります。
善玉菌が増えて酸性度が高い環境になると、日和見菌も善玉菌の働きをするようになり、悪玉菌が減るために善玉菌が優位になっていきます。逆に、悪玉菌が増えてアルカリ性傾向の環境になると、日和見菌も悪玉菌の役割をするようになり、善玉菌が減るので悪玉菌が優位になっていきます。日和見菌が70%を占めるということは、善玉菌が優勢になると日和見菌が善玉菌の役割をすることになって、ほとんどが善玉菌というような状態になっていきます。その逆に、悪玉菌が優勢になると日和見菌が悪玉菌の役割をするようになって、ほとんどが悪玉菌というような状態になるため、善玉菌を増やすことが重要になります。
赤ちゃんは善玉菌が非常に多くなっているものの、離乳期を過ぎると悪玉菌が増えていきます。特に増えるのは悪玉菌の代表であるウェルシュ菌で、これは中高年以降には大きく増えていきます。その一方で、善玉菌の代表であるビフィズス菌は減る一方となり、悪玉菌が優勢になっていきます。
若いときには胃液と十二指腸での腸液の分泌が盛んになっていますが、年齢につれて徐々に分泌量が減っていきます。胃液と腸液は強酸性で、分泌量が多いと胃と腸の中は酸性に保たれています。善玉菌は酸性の環境に強く、悪玉菌は酸性では活動が弱まっていきます。腸液は小腸下部では薄まっていくので、そこから大腸にかけては悪玉菌が増殖するようになっています。
善玉菌と悪玉菌の区別ですが、腸内細菌は栄養源(エサ)を内部に取り込んで、生命維持や活動のエネルギーを作り出した後に、不要となった代謝物を外に出しています。この代謝物が人間の健康にとって良い働きをする場合には、その腸内細菌を善玉菌と呼んでいます。それとは逆に、健康にとって悪い働きをする場合には悪玉菌と呼んでいます。
小腸には酸素は存在しているので、酸素の有無に関係なく生育できる通性嫌気性菌の乳酸桿菌が多く棲み着いています。盲腸から大腸に進むと、ほとんど無酸素状態になり、酸素が嫌いな偏性嫌気性菌が多くなります。偏性嫌気性菌の代表はビフィズス菌、バクテロイデス菌、ユウバクテリウム菌などがあります。