学習障害146 自律神経調整による腸機能の改善2

消化は胃だけでなく、食べ物を噛むところから始まっています。噛むと唾液が分泌されますが、交感神経は唾液の分泌を抑え、逆に副交感神経は唾液の分泌を盛んにします。興奮しているときには唾液が粘つきやすくなりますが、これは交感神経の働きが盛んになると唾液が減ってくることと関係しています。
交感神経は消化液の分泌を抑え、副交感神経は消化液の分泌を盛んにするわけですが、腸の蠕動運動を起こしている筋肉は交感神経によって動きがゆるやかになるために便秘になりやすく、交感神経は腸の筋肉の動きを盛んにするので便通をよくする作用があります。もともと腸の働きがよくない人の場合には、副交感神経の働きが盛んになると腸の筋肉による蠕動運動が盛んになりすぎて下痢になりやすくなることもあります。
また、交感神経には排泄を抑制する作用があり、逆に副交感神経には排泄を促進する作用があります。そのため排泄の前にはリラックス状態でいられるようにして、そして排泄の時間にも急かされることなく、できるだけ興奮することがないようにすることが大切になります。
自律神経の調整は難しいとされますが、外からのアプローチで一つだけコントロールが可能なことがあるとすれば、温度の変化です。入浴の場合には38℃以下のお湯の温度では副交感神経の働きが盛んになって心身ともにリラックスさせることができます。それに対して、42℃以上の温度では交感神経の働きが盛んになって元気な状態になっていきます。
夕食の時間帯は副交感神経の働きが盛んになっていますが、夕食前に、ぬるめのお湯で入浴すると副交感神経の働きがもっと盛んになります。この状態で食事をすると、胃液とインスリンが多く分泌されて、消化がよくなり、吸収もよくなり、さらにインスリンの働きによって肝臓で合成される中性脂肪が多くなるので、栄養を多く蓄えられるようになります。これが本来の姿です。
発達障害によって自律神経の調整が乱れていると、夕方でも交感神経の働きが盛んになって、なかなかリラックスできない状態となります。そんなところに熱めの温度で入浴をしたら、もっと交感神経の働きが盛んになってしまいます。この状態で食事をすると胃液とインスリンの分泌量が減ります。これは太ることを嫌っている人にとってはよいことかもしれませんが、栄養の吸収ということでいえば、決してよいことではありません。むしろ避けるべきことで、発達障害児は入浴温度も確認しておくべきことです。