学習に必要な子どもの感覚の発達は、順を追って進んでいきます。
身体機能と認知機能を一緒にトレーニングしていく感覚統合療法では、感覚の発達を以下のように整理しています。
①基礎的な感覚系(触る、バランスと動き、体の各部分の配置)
②感覚−運動統合能力(自分の体の全体像や各部分の認識、両側協応、利き手の発達、行為機能:体をうまく使う能力)
③知覚運動協応(聴覚による識別能力、視覚による識別能力、発話と言語能力、目と手の動作の連携、目的をもって行動する能力)
④学校で学ぶための能力(学習能力、複雑な運動技術、注意力の調整、秩序がとれた行動、自尊心と自己制御)
まずは基礎な感覚系ですが、これは誰にも備わっている機能として特に重視して考えない人もいます。しかし、普通に生活していれば当たり前のように身につくようなことは、脳の発達が正常に行われた場合のことであって、発達にばらつきがある発達障害では、基礎的な感覚がつきにくいこともあり、それを察知した段階で、改善を始める必要があります。ここでつまずくようなことがあると、感覚−運動統合能力を身につける段階まで進みにくくなり、能力の向上にも時間がかかることにもなります。だからこそ、初めの感覚を身につけることを重視して時間をかけることとして、それがクリアできてから次へと進むようにします。ここをクリアしておくことで、学業技能を高めることがつながり、最終項目である学習能力の向上につなげていくことができるということです。