学習障害161 体育のおける視覚障害の影響

学習障害というと、一般には識字障害、書字障害、算数障害が代表的なものとされていますが、体育の授業が通常の状態で受けられないということもあり、これも学習障害の一つと考えられています。識字障害は、文字が覚えられないというもので、正常に見えているのに脳が充分に覚えられない、覚えたとしても回答するまでに時間がかかって通常の授業時間、試験の制限時間では足りないという状態が多くなっています。
しかし、白い紙が光って文字が見えない、二重に見える、かすんで見える、にじんで見える、ゆがんで見える、左右が逆転して見えるという状態もあり、さらには文字が上下左右に動きている、文字が上から滝のように落ちてくるように見えるといったことまで確認されています。
このような状態のために識字障害が起こっている子どもは、体育においても通常とは見え方が異なっているために大きな困難さを抱えたまま授業を受けざるを得ないことにもなります。運動をするときにスペースや位置を決めるために白線が描かれていますが、この白線がまぶしく感じて、よく見えないことがあります。文字を読む場合とは異なるので、よく見えないままでも運動はすることができるかもしれません。
ところが、線がゆがんで見える、二重に見えるといった状態では、走るだけでも、どこを走ればよいのかがわからなくなります。ボールが二重に見えたら、キャッチすることもできません。発達障害の子どもには眼球運動がスムーズにいかないことも多く、眼球でボールや人の動きを捉えられないために見るために頭を動かすということもあります。また、眼球を動かすことはできても、左右の目から入ってくる情報を調整してボールなどの動きを察知することができないこともあり、それが動きをぎごちなくさせて、運動能力を低下させることにもなっています。
ボールが上手に受けられない、バットに当てられない、縄跳びができないというのは、単に運動能力が低いというだけではなくて、視覚の状態に問題があるために起こっていることもあるので、学習障害がある子どもの体育には、このような方法を得て指導しなければならないということです。