学習障害168 発達性協調運動障害の対応

発達性協調運動障害では、運動が苦手で、本来なら楽しんで行うことができる体育やスポーツが楽しくないものとなり、運動嫌いとなり、運動習慣が身につかないことにもなりかねません。これは就学時期だけでなく、それ以降の長く続く社会生活において心身ともに健康な生活を続けていくことができにくくなります。
発達性協調運動障害と診断された子どもの過半数が成人期にも協調運動困難が継続するとされているだけに、心身ともに健康な生活を続けていくことは大人になってからも大切なことです。
適度な運動はバランスのとれた食事、充分な睡眠とともに重要な健康生活の基盤となっています。生涯にわたっての健康づくりが叫ばれる中、運動が苦手なまま成長することは、日本人の健康基盤を危うくすることにもなりかねないということです。
発達性協調運動障害の改善には、感覚統合対応と修正体育対応が行われています。感覚統合対応は主に作業療法士によって行われていて、平衡感覚や身体認識を改善するための身体活動が行われます。訓練として実施するのではなく、楽しみながら、遊びの感覚で取り組みながら成果をあげることが求められます。
発達性協調運動障害の改善のための運動は、個別指導が原則となります。学校における体育は集団活動であり、個人の状態に合わせて支援するのは難しいことです。できないことがあった場合には、その原因を突き止め、それぞれの状態に合った練習を実施していく質による調整が必要ですが、集団活動の中では回数を増やす量による対応になりがちです。
修正体育対応は、個人での運動能力を高めた先の集団での競技を楽しむための支援として実施されます。よく例としてあげられるのはキャッチボールで、ボールを投げるだけでなく、相手が取りやすいところに取りやすいように投げるというタイミングや力加減を調整する能力をつけることが第一段階です。次には、相手の表情から求めていること、やってほしいことを知り、それを実施する非言語コミュニケーションを身につけることができるように継続的に実施していきます。実践に役立てることができるように、サッカーボールを蹴る、バスケットボールを投げるといった動作を取り入れ、楽しみながらできることを心身ともに獲得できるようにすることが大切です。