学習障害181 女性は脳梁の大きさが記憶力を高めている

発達障害は男女差が大きく、これまでの調査では男性は女性の2.4倍の人数とされています。発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害に大きく分けられていて、発達障害のうち半分ほどが学習障害となっています。学習障害は単独で起こるものではなく、自閉症スペクトラム障害でも注意欠陥・多動性障害でも学習に障害がみられます。また、発達障害だけでなく、グレーゾーンと呼ばれる子どもの中にも、発達障害と同様な学習障害がみられることも少なくありません。
子どもにみられる学習障害は10%ほどを占めていて、これは発達障害と同様の比率になっています。ということは、発達障害でなくても学習に困難さを抱えている子どもがいるということです。学習障害も男女差が大きく、男児の学習障害は女児の2〜3倍にもなっています。
その理由は多くの研究機関で解明が進められていますが、その中でも有力となっているのは脳梁のサイズです。大脳は右脳と左脳に大きく分けられ、記憶などの学習は左脳で行われているというのが一般的な理解です。しかし、認知症の研究から、左脳が障害を受けても右脳を用いて記憶の大幅な低下が抑えられています。左脳の機能を右脳が補っていて、その情報のやり取りをしているのが右脳と左脳をつないでいる脳梁の働きです。この脳梁のサイズが、女性は生まれながらにして男性の2倍ほどの太さがあり、右脳と左脳のバランスをとって脳全体の働きを高めています。
学習障害は、記憶が低下しているわけではなく、記憶をするために時間が多く必要であるという特徴があります。年齢を重ねると記憶力が低下するといわれますが、記憶したものは脳の中に蓄積されます。その蓄積に時間がかかるだけです。これは学習障害でも同様のことがいえます。男児は女児に比べると左右の脳を使ってバランスよく覚えるのに手間がかかるということを理解して、慌てずに教えていくことが大切になります。