学習障害189 得意な問題を選んでよい試験法

学習障害がある子どもは、試験問題を解くときに、引っかかってしまうと、そこから先に進めなくなるという特徴があります。同じ学習障害の分類であっても、発達障害の自閉症スペクトラム障害がある場合と、注意欠陥・多動性障害がある場合、この両方がみられずに学習にだけ困難さがある場合では反応が異なっています。自閉症スペクトラム障害では一点集中してしまい、他の問題を先に解こうという選択ができない子どもがいます。注意欠陥・多動性障害では他の問題にも気が散ってしまい、一つの問題に集中しにくくなっています。
これも一般的な分類であって、自閉症スペクトラム障害のスペクトラムは、あいまいな境界をもちながら連続していることを示す言葉で、状態も個人差が大きく現れます。注意欠陥・多動性障害のほうも、どれくらい多動や衝動があり、どこまで集中できるかは、それぞれの子ども次第というところがあります。だから、発達障害児の対応は難しいところがあります。
独特のこだわりがあり、これまでの自分なりのやり方で成功してきた場合には、そこから抜け出せずに、一歩も進めない状態になっても続けようとします。ゴルフにたとえると、絶対に抜け出せないバンカーショットを繰り返しているのと同じで、別の選択があることがわかれば、それを実施してもらえるようになります。
ここから先の話は、学校の試験では使えないことですが、学習能力を高めるための試験としては充分に検討ができることです。それはタイトルにあるような「得意な問題を選んでよい試験法」です。同じような傾向の問題、同じようなレベルの問題を数多く用意するのではなくて、傾向、レベル、問題の種類(計算問題、文章題、図形問題など)を多彩にして、このうちから好きな問題を選んで解答させるという方法です。これによって成績が上がったことを実感して、これを成功体験として学習意欲を高めていくことを目指しています。