学習障害191 音楽による学習向上の効果

音楽を聴きながらの学習は、多くの子どもにとって有益になります。複数の効果が認められていますが、初めにあげられるのはモチベーションの向上です。好きな音楽を聴いているときにはドーパミンが放出されます。ドーパミンは神経伝達物質の一つで、脳を刺激して心地よい感情を刺激して、気分が高まり、学習に取り組む意欲を高める効果があります。
学習に取り組むときには、その内容が難しいことであるほどマイナスの感情が起こりやすくなっていますが、音楽を聴くことによってマイナス感情が抑えられ、高いモチベーションをもって学習に臨むことができるようになります。その音楽は明るい曲想で、リズムはテンポが早いほうがよいとされるものの、感情が高ぶりやすい子どもの場合には、興奮して落ち着いて学ぶことができなくなることもあるため、明るい曲想でも、ゆっくりとしたテンポの曲がすすめられます。
次の効果はリラックス作用で、ゆっくりとした音楽を聴くことで、脳内の神経伝達物質のセロトニンが多く放出されるようになります。興奮したときや集中しすぎて周囲が見られなくなっているときには興奮作用があるアドレナリンが放出されていますが、セロトニンにはアドレナリンの働きを抑えて、精神的に安定させる働きがあります。
セロトニンには気持ちを安定させて、眠りにつきやすくする作用もあります。ゆっくりとした音楽を聴くことによって睡眠に誘導されやすく、睡眠も深くなることが知られています。睡眠に誘導するというと、学習中に眠くなってマイナスになるのではないかという心配があるかと思いますが、催眠効果は就寝時間が近くなっている場合のことで、学習意欲が高まっているときには眠くなることを心配することはありません。
ゆっくりとした音楽には脳波のアルファ波が出やすくなり、リラックスした気分になり、ストレスを軽減させる作用があり、これが集中力につながります。
音楽には記憶に関わる大脳辺縁系の海馬を刺激する作用もあり、音楽を聴いているときには見えたものを記憶する力が高まります。音楽を聴くと記憶したことが思い出しやすくなることもわかっています。