学習障害193 個室環境での学力は試験で発揮できるのか

学習のためには集中できる環境、誰にも邪魔されずに学べる環境が必要だと言われることがあります。集団で雑音があるような環境では学びにくいのは事実で、雑音だけならまだしも話し声がする、それも気になるような内容だと、これは学習向きの環境とはいえなくなります。
学習の目的が、自分にとっての能力を高めるだけであれば、しっかりと学べるのはよいことではあっても、試験をクリアして、次の段階にステップアップすることを目指しているとなると、試験会場で集中できなくなるようなことは避けなければなりません。試験会場は、これまで学んできた学校の教室とも学習塾とも環境が違います。それだけでも集中しにくいところにもってきて、周囲には緊張感をもって試験に臨む人ばかりです。
しかも試験会場を見回る試験官や補助員もいて、覗き込まれながらも試験を解いていくのは苦痛にもなります。中には、周囲の意欲を削ぐような受験生がいることもあります。少なくとも、周囲のざわつきや緊張が高まる場面でも、学んだことを多い出し、正確に回答していくことができるように、個室で一対一で学ぶ環境だけでは、重要な場面で実力が発揮できないことにもなりかねません。
集中して学ぶときには個室のほうがよいこともあります。それは認めるところですが、いつも個室ではなくて、集団で学ぶ機会があるときには一緒に学ぶ、少々のざわつきがある環境でも慣れておくためには必要という認識で、さまざまな環境の変化の中で学ぶ機会も設けます。そのときどきの状況に応じて変化できるようにしておくことも大切です。
どんな環境でも動じないようにするのが大切、といっても発達障害、学習障害があると変化には動じやすくなります。特に感覚過敏があると異なる環境では視覚、聴覚、嗅覚が強く刺激されることもあり、温度や湿度の変化の肌感覚が触覚過敏では不快に感じやすくもなります。だから、自分の部屋に閉じこもっての勉強・試験問題回答だけでなく、学習塾も活用すべきだと考えます。