発達障害では独特のこだわりが見られます。学習するときの席の場所、座り方、光(自然光、照明)の方向、書き出すまでのローテーション、質問の手順など、そのこだわりの通りに行わないとうまく学べない、少しでも手順が違うと集中力が保てないということにもなります。そのために、座席が決まっていない教室に入るときには一番に入って席を確保する、教室に入るのが遅れて席が使われていると学習意欲が大きく低下する、場合によっては学ぶ気がなくなり、帰ろうとすることさえあります。
席へのこだわりは、それがうまくいくと、そこから先はスムーズに進められることから、なんとかして席を確保しようとしがちです。学習障害がある場合には、特に好みの席にこだわる傾向がありますが、進学試験を考えるなら、この席へのこだわりは早めに解消するようにしたいものです。
例えば、周囲に他人がいると落ち着かない、後ろに他人がいると気になって集中できないという子どもは、端の席、後方の席を希望します。その両方を希望して、最後方の端の席を確保しようとする場合もあります。しかし、実際は、そのような希望する席に試験会場で当たることは極めて珍しいことで、希望がかなえられることはないと思ったほうがよいでしょう。
発達障害と学習障害への理解がある学校なら、特別に席を選んで与えてくれたり、別室(個室)での試験を認めてくれるところもあります。しかし、これも極めて少ない学校でしかありません。
そういったラッキーな条件で試験が受けられないことが圧倒的に多いことから、どんな席でも対応できるように、席へのこだわりが薄れるようにすることが求められます。ただ、いろいろな席で学ばせるだけでなく、席を変わったときによい結果が得られた、誉められたという成功体験があれば、席へのこだわりは徐々に薄れていくようになります。