学習障害195 100点満点が正しい基準とは限らない

満点といえば100点というのが常識的ですが、何も100点に限ることもありません。200点満点でもよいし、50点満点でもよいはずです。100点でなかったとしても、100点に近いほうがモチベーションは高まります。1問が3点、5点と初めから配分される点数が決まっていれば、○×で何点であるのかは簡単にわかります。
自分が解答した数よりも、採点数が少なかったら、これは計算間違いが考えられます。それ以外では低い点数になることはないということです。これとは逆に、解答した数よりも採点数が多かったら、これは“下駄を履かせる”という行為の結果と考えることができます。下駄を履かせるというのは、もともとは商業行為で数量や価格などを高く見せて偽ることを指していて、別の言葉では“上げ底”があげられます。
下駄を履かせたり、上げ底をしなくても、点数を高くつける方法があります。それは文章で回答する問題の点数配分を多くしていく方法で、例えば○×式、穴埋め式などの点数配分は50点にして、残りの50点は文章の回答で採点者が点数を決められるようにします。ここに忖度(そんたく)が生じるという指摘もされるところですが、入学の試験でなければ、このような採点法によってモチベーションを高め、学習意欲を高めていくという試験方法があってもよいわけです。
試験は優劣をつけることだけが目的ではなく、試験を通じて現状を把握して、改善点を図っていく目的もあります。学習障害がある子どもの場合には、高い点数が得られたという体験によって意欲を高めていくことも大切です。学習障害児の教育では、理解の度合いに応じて1〜2学年下のものを教えて、それで試験をするということも実施されます。しかし、これは子どもを傷つけることでもあり、別の方法を考える必要があるという提案として伝えさせてもらっています。