文が読めない子どもで、聴覚系に課題がある場合には、初見では逐次読みになりますが、だいたいの意味がわかるようになると勝手読みをするようになります。文は句読点で区切って読むことを繰り返させてもリズミカルに復唱することや、正確に覚えることが困難になります。これは聞き取る力が弱くて、知らない言葉や正確に覚えていない言葉が多くなっているからです。そのために、単語や文節を正確にひとまとまりとして読み取ることが難しく、聞いて覚えて音読するという文を読む基本となる習得が困難となっています。
漢字の習得については、一度覚えた文字を正確な形(概ね正確な形に近いこともある)を覚えているものの、意味を正しく理解して、それを定着するのが難しくなっています。特に読み替えが難しく、書字では同じ読み方の意味の違う誤字である当て字を使うようになります。音を正確に記憶することができないことから、意味の理解が不正確で、適切に利用できないことから、繰り返し覚えさせることではなく、その都度、正しい意味を教えるという基本的な指導の徹底が求められます。
拗音(きゃ、しゅ、にゅ)や促音(きって)は1音節が1文字とはならない特殊音節ですが、その感覚がつかめずに混乱を起こしていることが多くみられます。特殊音節が文の中にある場合には読めても、音を聞いて正しく書くことができないということがあります。
これは感覚的な問題ではなく、聴覚系の課題による困難さであることから、その困難さを理解して、聴覚系の課題を解決することを指導と同時に進めないといけない対象となります。指導の中でも、繰り返しを強要することは、これが困難な子どもにとっては苦痛を強いているだけにもなりかねず、見てわかる、1段階ずつ理解するまで次のステップに進まないという配慮が必要となってきます。