学習障害35 聴覚系に課題がある場合の読み書きのアプローチ

聴覚系に課題がある場合には、見て、聞いて、声に出すという読み書きの基本となる音読が困難になっています。集団で音読をするときには周りに合わせて進められるものの、個人での読み書きとなると聞いたことを言葉にすることがスムーズにいかず、中でも長い文を読むことが難しいことがあります。そのようなときには、短く区切って、それを読むことから始めて、徐々に長い文に慣れるようにしていきます。
覚え間違いをしているときには、それを指摘するだけでなく、どのように違っているのか、知らない言葉や思い出せない言葉があるときには意味を理解させてから進めていくようにします。日本語の特有のリズムである2拍フットで読むことも大切です。2拍フットは2拍でひとまとまりにするというルールで、例えば「おはようございます」は「おは/よう/ご/ざい/ます」となります。中には前から順番に2拍ずつ区切って「おは/よう/ござ/いま/す」と話す子どももいますが、2字ずつ切って読めばよいという単純な法則でないことが聴覚系に困難がある子どもには初めのうちは理解しにくいところがあります。
漢字の指導は、繰り返し書いて練習させることよりも、理解しにくいところがあったときには、そこで止めて、意味を理解することを重視して、日常生活の中で出てくる別の読み方も指導して、理解を深めてから進んでいくようにします。「本」は「ほん」と読むのが基本で、「本棚」は「ほん」でよいのに対して、「一本」は「ぽん」、「二本」は「ほん」、「三本」は「ぼん」と別の読み方となっています。これが混乱させる原因になっていますが、特別なルールを面白いと感じさせることができれば、つまずきは解消されます。
日本語の基本は「1音=1字」ですが、拗音(きゃ、しゅ、にゅ)や促音(きって)のように1文字以外になるルールを整理して、つまずきがあった場合には法則を指導して、理解できるまで繰り返し教えていきます。聴覚系の課題は、個人の特性だけでなく、家庭環境や教室環境も関わりがあることから、聴く力を育て、それを表現していく言語環境を整えていくことを意識して指導法を考えていくことが大切になります。