感覚と運動系の課題が見られる子どもでは、知的な発達は高く、知能検査の結果でも落ち込んでいる領域が見られず、身体を動かす遊びは好きではあるものの、縄跳びなどリズムや協調性が必要となる活動では不器用さが目立つという特徴があります。感覚統合検査の結果では、左右の協調運動、体性感覚(触覚・固有感覚)・運動の継次的処理が必要とされる検査に難しさがあるものの、極端に低いスコアが見られないということがあります。
眼球運動、左右の協調性などの通常は無意識レベルで処理できる能力に意識を向けなければならないことが、読み書きの困難さに関連することが考えられます。読むことに不可欠な眼球運動、文字をまとまりとして読む能力、書くことに必要な眼と手が噛み合って働く協応、体性感覚の継次的処理に課題がある場合が多くなっています。
体性感覚は皮膚感覚や深部感覚、内臓感覚などの感覚器が外から見ることができない感覚のことで、五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)の特殊感覚と対比して使われる言葉です。継次的処理は時系列で順番に処理していくことを指していて、一つひとつの部分を順番に考え、それらをつないで全体を考えていくことです。これに対するのが同時処理で、全体をおおまかにイメージして、部分と部分の関係で考えることです。
身体の機能を活用して、処理していけるはずのことができないということですが、知的な発達が高いことから、これを苦しさと感じて、自己肯定感の低下による適応不全に陥りがちです。それを改善する方法として、楽しみながら聞く能力を高めるためのクイズ(なぞなぞや3ヒントクイズ)、集中して取り組むことによって成功するような勝てるゲーム(間違い探し、魚釣りゲームなど)、2〜3文字を見て練習するカード(絵カード、ひらがなの文字カード、単語カード)を使用するといった方法を取り入れるようにします。