感覚と運動系に課題がある場合には、自分の感覚や身体をうまくコントロールできないことに対する苛立ちがあります。それを理解して、できるだけ抵抗がない状態で活動に参加できるように支援する必要があります。
文の読みについては、全員で声をそろえて一斉に読む斉読では声を出しながら聞くということを身につけるようにします。また、個人読みの場合には、正確に読めるようになった短い部分を読ませて、徐々に長く読めるように指導していきます。音読は、ただ正確に文字を追って読めればよいということではなく、リズミカルに読むことが求められます。
言葉として正しくても、日本語特有のリズミカルな読み方が必要で、その方法が2拍フット(2拍でひとまとまり)です。これは先生の場合は「せん/せい」と区切っていく読み方で、余った字は1拍で読むというものです(あり/が/とう/ご/ざい/ます)。
漢字の学習については、手の動きが感覚としてわかるようにすることや、空書きをさせて感覚と運動を一致させることが指導されます。空書きは、教える側が手を出して空間に文字を書いていく方法で、教わる側に背中を向けて同じ手の動きをさせる方法もありますが、一般には向き合って教える側が鏡文字のように左右逆に書いていく方法がとられています。
感覚と運動系に課題がある場合の指導には固有感覚と前庭感覚の充足が求められます。固有感覚は筋肉の中の感覚器官が、どれくらい力を入れるのか、どれくらい外から力が入ったのかを検出して手の動きや身体の動きを脳に伝えることを指します。前庭感覚は耳の内耳にある検出器官によって身体の傾きやスピードの感覚を脳に伝えることを指します。
特殊音節に関しては、清音、濁音、簡単な漢字への抵抗が少なくなった段階で、特殊音節(促音、長音、拗音、撥音)の法則性を理解することを重視して指導します。間違えたところで止めて、何度も繰り返させるのではなく、理解して覚えるように導いていくことが大切になります。学習障害では総じてつまずきやすく、ここを理解することが重要で、教育スケジュールに合わせて進もうとしないことが求められます。