学習障害91 自律神経調整が学習に影響する

発達障害がある人は、自律神経調整が乱れやすいことが指摘されています。起きている時間帯は自律神経の交感神経の働きが盛んになり、夕方以降から就寝中は副交感神経の働きが盛んになって、活動と休息の身体調整が行われています。自律神経の自動車にたとえられることがあり、アクセルにあたるのが交感神経、ブレーキにあたるのが副交感神経となります。速度を出さなければならないときにブレーキを強く踏むようだと走るのが遅くなるどころか止まりかねません。そんな状態になっているのに、身体も脳も活発に働かせようとすることは心身の負荷を強めて、心身のダメージを高めることにもなります。学習にも当然のように大きな影響を与えることになります。
大人の例を出しますが、夕方や寝しなにアルコール飲料を多く飲むと、寝つきはよくても熟睡できなくなり、眠りが浅くなり、成長ホルモンの分泌も低下します。成長ホルモンは大人の場合には主には回復の働きとなりますが、子どもの場合には、その名のとおり成長のホルモンで、脳の成長にも大きな影響を与えています。飲酒によって眠りが浅くなるのは、寝ている間も交感神経の働きが盛んになっているためで、それと同じ状態が発達障害では起こっていると考えると理解しやすいかと思います。
自律神経は興奮と抑制といった働きの調整で、心臓の拍動や呼吸、血流にも影響していますが、食事による栄養摂取から排泄までの流れに大きく関わってきます。唾液も胃液も交感神経は分泌を減らし、副交感神経は分泌を増やします。腸の吸収と蠕動運動を高めるのは副交感神経で、これを弱めるのは交感神経です。また、排泄もスムーズにするのは副交感神経で、停滞させるのは交感神経です。
ゆっくりと寝て、心身ともに休めたいのに、交感神経の働きが副交感神経を上回るようなことになると、朝食も消化・吸収がうまくいかなくなり、食後のトイレもスムーズにいかなくなる、そして昼間の時間帯にお腹がすかずに、トイレに行きたくなるというようなことも起こってしまうのです。