岡山県の女性の平均寿命が全国2位になった

テレビの制作会社のディレクターから岡山県の女性の平均寿命が2位なったことについて、その理由と今後の見通しの質問がありました。この調査結果は厚生労働省による「平成27年都道府県別生命表の概況」によるものですが、質問への当方の返答をもってコメントをする専門家のところに取材に行くとのことでした。このような扱いには慣れていて、正しい情報が正しく伝わるなら、コメントする方に注文をつけるようなことはしないようにしています。
長寿県といえば今は長野県で、昨年までの発表データでは男女ともに平均寿命ランキングは1位でした。“でした”ということはランクが下がったということですが、男性が1つ下がって2位になりました。どこが抜いたのかというと滋賀県です。女性は長野県が1位を守りましたが、2位に上がってきていて1位の座をうかがう勢いの県が出てきました。それが今回の質問のテーマとなっている岡山県です。
長野県の女性の平均寿命は87.675歳なのに対して岡山県の女性は87.673歳と、これまでの下二桁の発表では同点となるので、三桁目まで発表するという初めての出来事が起こりました。
このデータが掲載されている都道府県別生命表の推移統計は5年毎の統計が原則で、飛び飛びの発表になっていますが、岡山県の女性の平均寿命は昭和40年と50年は4位、昭和60年は5位、平成7年は6位と微妙に下がり続け、平成17年に4位に戻り、平成22年には8位となったので、これは下がり続ける予兆かと思われたところでの2位への躍進でした。
この推移を見ると、もともと長寿県で、よい環境と条件が整っているところに健康づくりの施策が加わることでランクアップするのは、これまでにも見られたことです。その施策が何だったのかということは、コメントをする先生の範疇に足を踏み入れることなので、今回は見送りましたが、近いうちに紹介させてもらいます。
「長寿県といえば今は長野県」と初めに書きましたが、昔はどこだったのかというと沖縄県でした。以前に沖縄県の平均寿命ランクが下がるのと、脂肪摂取量の減少がリンクしていることを紹介しました。「だから、脂肪を減らすのはよくない」という考えには賛成しにくいところですが、沖縄県の男性の平均寿命のランクを見ると、昭和50年に10位、昭和60年に1位、平成7年に4位、平成17年に25位、平成22年に30位、平成27年に36位となっています。この飛び飛びの発表の間の年である平成12年に26位に急に下がったことから“26ショック”と呼ばれました。
下から数えたほうが早いという26ショックから、さらに落ちて36位となると、新たなデータしか見ていない人は、かつては長寿県であったことを知らずに、過去のデータを見せられて初めて知ったという人も少なくありません。
沖縄県の女性はというと、昭和50年に1位、昭和60年にも1位、平成7年にも1位、さらに平成17年にも1位でしたが、平成22年に3位、平成27年に7位となっています。まだまだ上位にいることは確かですが、今後も下がり続けることは容易に想像がつくことです。これは脂肪の摂取量が減ったからということではなくて、むしろ脂肪の摂取量が増えたことであって、その当時には青年期であって多くの肉食をしていた人が高齢になったことと関係しています。