平均の人に会ってみたい

さまざまな健康に関わる調査が行われると、その結果として平均が発表されます。日本人の平均的な身長、体重、体脂肪値、BMI(体格指数)などが発表されると、それぞれ自分と比べて、どうなのかが気になります。最も健康的な人のデータが発表されると、そのデータとの差が小さいほど安心感を抱いたりもします。
調査によって平均値が発表されるたびに感じていたのは、平均の人に会って、どんな生活をしているのか聞いてみたいということです。臨床栄養の世界にいたので、栄養の平均値が発表されたら、最も平均値に近い人を探し出すことはできました。厚生労働省による国民健康・栄養調査では、栄養素についても年齢別、男女別に毎年の平均値を出しています。これを見れば摂取量の変化を見ることができて、健康度との変化に当てはめてみれば、どんな栄養素が健康に影響を与えているのか、今の状態が見えてきます。
そのための調査結果だとわかっていても、それでも平均の人に会いたいという気持ちがあって、それを調べてもらったことがありました。その結果、平均値にピッタリの人を発見することができなくて、平均値に近い人は出てきました。その人に会って見るべきかと思って、平均値と理想の栄養摂取量を見比べてみたら、すべての栄養素が理想の数値になっているわけではないことがわかりました。
例えば、カルシウムの摂取量を見ると、全年齢層の男女ともに摂取目標に対して100%に達しているところはありませんでした。栄養摂取が多すぎるわけでなく、少なすぎるわけでもなければ健康というわけにはいかないということです。
全体的にそんな状況であったら、平均値を出して、その人を探すことに意味があるのかといえば、そうではないという当たり前のような結果となりました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)