年寄りになった証拠とされることに、昔のことばかり話をする、昔のことはよく覚えているのに最近のことは思い出せなくなるということがあげられます。その状態が進んでいくと、さっき食べたばかりの食の内容がわからない、食事をしたことも覚えていないという状態になって、ここまで進むと認知症と指摘されても仕方がありません。
高齢になると記憶力が低下していくと言われるのですが、記憶力には以前に覚えたことを記憶として残していることと、新しく記憶したインプット情報を脳に刻み込んでいることに大きく分けられています。記憶力の低下というと、この両方の機能が低下していくように思われがちですが、脳に損傷がなければ年齢を重ねたとしても以前に記憶したことが失われるようなことはありません。
このことについては取材をした脳科学者から、本題のインタビュー内容に負けないくらいの時間をかけて聞き出し、それこそ脳に刻み込んで、しっかりと記憶として蓄積させてもらいました。
記憶というのは、その日に覚えたことを机の上に乗せているような状態で、それを引き出しの中に入れ、以前に記憶したことに積み重ねたり、一部を入れ替えて整理をしているような状態です。引き出しに整理して入れたのが記憶であって、まだ机の上に乗せている状態は脳に情報をインプットしただけの状態です。しっかりと引き出しに整理することができていれば、必要なときに机の上に出して、それを思い出し、活用することができて、初めて記憶力がよいと表現されます。
このメカニズムは、高齢になっても代わりがありません。年齢を重ねて記憶したはずのことが思い出せなくなっていたとしたら、それは本人が記憶したと思い込んでいるだけで、実際には完璧に記憶として蓄積されていなかっただけ、ということができます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)