腸内細菌の総数はほぼ決まっていて、善玉菌が増えると悪玉菌が減り、善玉菌が減ると悪玉菌が増えていきます。逆の言い方をすると、悪玉菌が増えると善玉菌が減り、悪玉菌が減ると善玉菌が増えるという関係性になっています。だから、できるだけ善玉菌を増やすようにしないところですが、善玉菌が増えると、普段は敵でも味方でもない腸内細菌が、善玉菌の味方をするようになって、どんどん腸内環境を改善していくことができます。その働きをするのは日和見菌です。
善玉菌が増えて腸内の酸性度が高い環境になると、日和見菌も善玉菌の働きをするようになり、悪玉菌が減ることになるので善玉菌が優位になっていきます。逆に、悪玉菌が増えてアルカリ性傾向の環境になると、日和見菌も悪玉菌の役割をするようになり、善玉菌が減るので悪玉菌が優位になっていきます。日和見菌は腸内細菌の70%を占めていて、善玉菌が優勢になると日和見菌が善玉菌の役割をすることになって、ほとんどが善玉菌というような状態になっていきます。その逆に、悪玉菌が優勢になると日和見菌が悪玉菌の役割をするようになって、ほとんどが悪玉菌というような状態になるため、善玉菌を増やすことが重要になるのです。
赤ちゃんは善玉菌が非常に多くなっているものの、離乳期を過ぎると悪玉菌が増えていきます。特に増えるのは悪玉菌の代表であるウェルシュ菌で、これは中高年から老年にかけて大きく増えていきます。その一方で、善玉菌の代表であるビフィズス菌は減る一方となり、悪玉菌が優勢になっていきます。その理由としては、加齢による腸内の酸性度の低下が大きいからだと考えられています。
若いときには胃液と十二指腸での腸液の分泌が盛んになっているものの、年齢につれて徐々に分泌量が減っていきます。胃液と腸液は強酸性で、分泌量が多いと胃と腸の中は酸性に保たれています。善玉菌は酸性の環境に強く、悪玉菌は酸性では活動が弱まっていきます。腸液は小腸下部では薄まっていくので、そこから大腸にかけては悪玉菌が増殖するようになっているのです。