海外で始まった微表情の研究は日本人にも当てはまるのかということは以前から言われてきたことですが、京都大学こころの未来研究センターのグループは日本人を対象とした「日本人の基本6感情の表情」を発表しました。
アメリカの研究(エクマン理論)では7つの表情分析で、喜び、悲しみ、怒り、嫌悪、軽蔑、恐れ、驚きが微表情のチェックポイントとなっています。
これに対して「日本人の基本6感情の表情」は、タイトルからもわかるように6つとなっています。それは怒り、嫌悪、恐怖、幸福(喜び)、悲しみ、驚きで、含まれていないのは軽蔑の表情です。
この研究では、一般の日本人の写真条件とシナリオ条件が比較されています。写真条件は理論的に作られた表情の写真を模倣したもの、シナリオ条件は感情的なシナリオでの表情表出を指しています。表出された表情は、AIによってエクマン理論による感情の判別と表情の動きの判別について解析されました。
写真条件では感情が明確に表出されたものの、シナリオ条件では幸福と驚きの条件でしか感情ははっきりと表出されませんでした。
シナリオ条件では、嫌悪では「生ゴミの臭いがすごく臭かったときの気持ち、臭いにおいが嫌だという気持ち」、幸福では「ずっと欲しかったプレゼントをもらったときのうれしい気持ち、すごくうれしくて幸せな気持ち」といったものでした。
この結果は 日本人の基本6感情の表情を報告する世界初の実証的な知見で、日本人はエクマンの表情の理論は部分的にしか確認できず、日本人については従来の理論を修正する必要があることが示唆されています。
微表情は隠そうとしても現れる心理を見抜く手法として使われているので、日本の研究とは条件が異なっているものの、表情が出にくく、見抜きにくい日本人の本心を知るには、日本人の観察が重要になってきます。
そうでないと、誤った判定によって困った結果になりかねないことがわかっているからです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕